CFO Forum No.179 に寄稿しました。

企業の競争力を引き上げるCFOの新たな役割 [53]
想像を超える危機に経営の本質が見える
─未来を託せる人材準備が企業の生存力を試される─

<概要>

トランプ関税ショックが突きつける「経営の真価」

世界経済は不確実性の極みに突入。地政学リスクと経済変動の波が、企業に前例のない試練を突きつけている。過去の延長や場当たり的な経営では乗り切れない状況が加速している。

企業ごとに分かれる「危機対応力」

即座に北米シフトや投資戦略の見直しを始めた企業もあれば、未定のまま混乱し株価暴落に直面する企業もある。背景にあるのは、平時からの経営姿勢の差。意思決定力、備え、そして組織の地力が如実に表れている。

危機を乗り越える組織に共通するもの

修羅場をくぐり抜けてきた組織は、人と組織の「逃げない力」と「巻き込む力」が備わっている。平時から危機対応力を鍛え、組織を動かし、人を導けるカルチャーとマネジメント力が、難局で真価を発揮する。

本質は「人の力」

何十年に一度の大変動を乗り越える鍵は、人。現場力と創造力を総動員し、未来を先読みして動ける人材がどれだけいるか。総力戦で知恵を結集し、組織のベクトルを合わせて、危機のインパクトを最小化することが生死を分ける。

危機突破のための戦略経営トレーニング

「想定外」はもはや日常。危機を前提に、経営の型とシミュレーションを磨き続ける必要がある。常に組織のパワーを引き上げ、インタンジブルアセット(無形資産)の強化と、経営の健全性の棚卸しが不可欠。

CFOの新たな挑戦と責務

人的資本経営の第一歩は、人と組織の危機突破力を戦略的に高めること。CFOはもはや財務の番人ではなく、企業の総合資産、特に「人」の価値を最大化する経営の中核を担う。

経営者の人格と志が未来を決める

危機を乗り越えるリーダーは、理想と使命感を持ち、人の成長を本気で考える存在。志あるリーダーをいかに社内で育てるか。それが企業の持続可能性を決める最大の戦略である。

今、経営の本質が問われている

「人を残す経営」が、最終的に企業の競争力を決める。経営の永遠のテーマは、変化に耐え、変化を起こせる人をいかに社内に増やせるか。その実現が、CFOのトータルアセットマネジメントの核心になる。